2011年08月10日
懐が深いということ
メシールのストロークは、しばしば、「懐(ふところ)が深い」と評されます(いました)。懐が深いというのは、どういうことでしょうか?今回は、メシールの懐の深さを分析してみようと思います。
一般的に言うと、懐が深いということは、打点が後ろであるといってよいでしょう。一瞬、差し込まれたように見える場合でもボールを打ち返すことができる。しかも、差し込まれて苦し紛れに打ち返すのではなく、きちんとボールをコントロールするということです。場合によっては、振り遅れたと思った相手が想像しない方向に打ち返すということもあります。
しかし、ここで、注意する点があります。懐が深い(メシールの)ストロークは、常に打点が後ろであるということではないということです。このことを間違えると、メシールのテニスを誤って理解することになります。
現代のテニスにおいて、常にフォアハンドストロークの打点を後ろにおいているプロテニスプレーヤーは、存在しません。どんなにグリップが薄くてもです。かつてのプレーヤーでは、マッケンローがそうでしたが、そのフォアハンドは決して安定しているというものではありませんでした。
打点が後ろになってもボールに勢いを与えることができるのは、相手のボールに勢いがあるときだけです。自分の体重移動を使わずに、相手のボールの勢いを使って小さいスイングと正確なラケット面でボールを打ち返す場合のみなのです。いわゆる、「面を作ってボールを打ち返す」ということです。
相手のボールが普通の(または勢いのない)ボールであれば、基本は、打点を前にして、しっかりと前足に体重移動することでボールを打つのが、ストロークの基本です。これは、あらゆるタイプのプレーヤーに共通したことです。
では、懐が深いプレーができるプレーヤーとは、どういうプレーヤでしょうか?
この答えは、簡単です。スイングがループ状ではなく、直線状のタイプのプレーヤーです。ループ状のプレーヤー(たとえば、メシールと同世代でいうと、アガシやヴィランデル)の場合、ボールのヒッティングポイントが点になります。ボールの飛球線とループの交差点のみが打点になります。いわゆる、スピン系のフォアハンドストロークです。
一方、直線的なストロークの場合には、ボールとスイングの飛球線を重ねることで、打点を広くとることができます。したがって、差し込まれた場合でも、ボールを打ち返すチャンスが増えるので、「懐が深い」ことになるのです。いわゆる、フラット系のストロークが、これに該当します。
もう一つ、フォアハンドに関していうと、グリップが薄いことが、懐が深いことの必要条件になります。厚いグリップは、体の前のほうでしか打点があり得ませんが、薄いグリップは打点を後ろにすることができます。(くどいようですが、打点が後ろになるのは、特別な場合だけです。)最近のテニスでは、ほとんどの選手のフォアハンドグリップが厚いので、懐の深いフォアハンドストロークを見ることは、ほとんどなくなりました。
繰り返しますが、懐が深いストロークが打てるからと言って、打点を前に(体重を乗せて)打つことができる時に、あえて、打点を後ろにすることはありません。それは、力強いボールを打つという意味では、不利になります。メシールは、フォアハンドでも、バックハンドでも、まれに、スイングを瞬間的に遅らせることで、意図的に打点を後ろにして、逆クロスにボールを運ぶ打ち方をしていました。これは、格下の相手に対しては特に有効な技術でした。アマチュアにはなかなか難しい高等技術ですが、私も、いつかは挑戦してみたいと思っています。
さて、話を戻しましょう。というよりも、すでに、結論は出ています。懐が深いメシールのプレーをコピーする際に、決して、打点を遅らせてはいけないということです。打点を遅らせるのは、仕方がない場合、または意図的にそれを行う場合であって、基本は(普段は)、打点は前です。他のプレーヤーと同じです。
このことは、フォアハンド、バックハンド、どちらも同じです。実は、特に気を付けるべきは、バックハンドの場合です。メシールのテニスでは、フォアハンドはもちろん、バックハンドでも打点を後ろにおいてはいけません。正確に調べたわけではありませんが、メシールの両手バックハンドは、他の両手バックハンドと比較した場合でも、打点は前なのではないかと思います。(少なくとも、他のプレーヤーよりも後ろということはないはずです。)このことは、また、別の機会に書こうと思います。
⇒この記事の元記事はこちらです。
一般的に言うと、懐が深いということは、打点が後ろであるといってよいでしょう。一瞬、差し込まれたように見える場合でもボールを打ち返すことができる。しかも、差し込まれて苦し紛れに打ち返すのではなく、きちんとボールをコントロールするということです。場合によっては、振り遅れたと思った相手が想像しない方向に打ち返すということもあります。
しかし、ここで、注意する点があります。懐が深い(メシールの)ストロークは、常に打点が後ろであるということではないということです。このことを間違えると、メシールのテニスを誤って理解することになります。
現代のテニスにおいて、常にフォアハンドストロークの打点を後ろにおいているプロテニスプレーヤーは、存在しません。どんなにグリップが薄くてもです。かつてのプレーヤーでは、マッケンローがそうでしたが、そのフォアハンドは決して安定しているというものではありませんでした。
打点が後ろになってもボールに勢いを与えることができるのは、相手のボールに勢いがあるときだけです。自分の体重移動を使わずに、相手のボールの勢いを使って小さいスイングと正確なラケット面でボールを打ち返す場合のみなのです。いわゆる、「面を作ってボールを打ち返す」ということです。
相手のボールが普通の(または勢いのない)ボールであれば、基本は、打点を前にして、しっかりと前足に体重移動することでボールを打つのが、ストロークの基本です。これは、あらゆるタイプのプレーヤーに共通したことです。
では、懐が深いプレーができるプレーヤーとは、どういうプレーヤでしょうか?
この答えは、簡単です。スイングがループ状ではなく、直線状のタイプのプレーヤーです。ループ状のプレーヤー(たとえば、メシールと同世代でいうと、アガシやヴィランデル)の場合、ボールのヒッティングポイントが点になります。ボールの飛球線とループの交差点のみが打点になります。いわゆる、スピン系のフォアハンドストロークです。
一方、直線的なストロークの場合には、ボールとスイングの飛球線を重ねることで、打点を広くとることができます。したがって、差し込まれた場合でも、ボールを打ち返すチャンスが増えるので、「懐が深い」ことになるのです。いわゆる、フラット系のストロークが、これに該当します。
もう一つ、フォアハンドに関していうと、グリップが薄いことが、懐が深いことの必要条件になります。厚いグリップは、体の前のほうでしか打点があり得ませんが、薄いグリップは打点を後ろにすることができます。(くどいようですが、打点が後ろになるのは、特別な場合だけです。)最近のテニスでは、ほとんどの選手のフォアハンドグリップが厚いので、懐の深いフォアハンドストロークを見ることは、ほとんどなくなりました。
繰り返しますが、懐が深いストロークが打てるからと言って、打点を前に(体重を乗せて)打つことができる時に、あえて、打点を後ろにすることはありません。それは、力強いボールを打つという意味では、不利になります。メシールは、フォアハンドでも、バックハンドでも、まれに、スイングを瞬間的に遅らせることで、意図的に打点を後ろにして、逆クロスにボールを運ぶ打ち方をしていました。これは、格下の相手に対しては特に有効な技術でした。アマチュアにはなかなか難しい高等技術ですが、私も、いつかは挑戦してみたいと思っています。
さて、話を戻しましょう。というよりも、すでに、結論は出ています。懐が深いメシールのプレーをコピーする際に、決して、打点を遅らせてはいけないということです。打点を遅らせるのは、仕方がない場合、または意図的にそれを行う場合であって、基本は(普段は)、打点は前です。他のプレーヤーと同じです。
このことは、フォアハンド、バックハンド、どちらも同じです。実は、特に気を付けるべきは、バックハンドの場合です。メシールのテニスでは、フォアハンドはもちろん、バックハンドでも打点を後ろにおいてはいけません。正確に調べたわけではありませんが、メシールの両手バックハンドは、他の両手バックハンドと比較した場合でも、打点は前なのではないかと思います。(少なくとも、他のプレーヤーよりも後ろということはないはずです。)このことは、また、別の機会に書こうと思います。
⇒この記事の元記事はこちらです。